アルミの熱処理
銅の光輝焼鈍(焼きなまし)



アルミに対し、0(焼なまし)、
T5(応力除去、経年変化)、T6(溶体化処理)を行います。

【特徴】
記号 処理の内容 目的
鋳造のまま ・そのまま使用する場合
焼なまし ・残応力の除去
・寸法の安定化及び伸びの向上
(慣習的にT2とも呼ばれています)
T4 溶体化処理 ・機械的性質の向上
・耐食性の向上
T5 焼もどし ・硬さ及び被切削性の向上
・寸法の安定化
T6 溶体化処理後
焼き戻し
・最高の強さを得られます
T7 溶体化処理後
安定化処理
・T2以上の強さを得られます
・高温度の使用に対する寸法安定性の確保


[0]焼きなまし
鋳造ひずみや、機械加工または溶接加工による残留応力の除去
目的とした処理です。
かつては鋳物の場合は[T2]、展伸材の場合は[O]と呼んでいましたが、1979年のJIS改訂でいずれも[0]となりました。
しかし便宜上、[T2]=焼なましの呼び方も使用されています。
各材質の鋳物に焼なまし処理を実施すべきか否かは、その鋳物の使用目的に応じて、お客様と協議して定めさせていただきます。


[T4]溶体化処理
高温度で比較的長時間加熱し、引き続いて急冷を行う「焼入れ」によって固溶限のある添加元素を過飽和に固溶させます。
これによって耐食性及び機械的性質が向上し、特に靭性が最も優れます。


[T5]焼もどし
通常、金型鋳物や冷やし金にて急冷した鋳物などは、肉厚が薄く結晶粒度も細かいことから、すでに不十分ながらも溶体化処理及び焼入れがなされたに近い状態です。
そのため焼もどし処理のみを行うことで、[T6]には劣るものの機械的性質・硬さ・機械加工性を高め、寸法の安定性を向上させることができます。
この処理の最大のメリットは、過剰な溶体化処理及び
焼入れを行うことによる変形や亀裂の発生を防ぐ
ことです。
しかし弊社ではそういった危険性を最小限に抑えたまま[T6]を行う技術とノウハウがございます。
詳しくは担当者までお問い合わせください。


[T6]溶体化処理+焼もどし
[T4]に、人工的に析出時効を行わせる[T5]を組み合わせたものです。
溶体化・焼入れ・焼もどしを行います。
靭性は若干おちますが、機械的性質、特に最高の強さが得られ、硬さも高く、機械加工性に優れています。


[T7]溶体化処理+安定化処理
安定化処理とは、より高い温度で行う焼もどし処理のことです。
[T6]処理をした製品を、焼もどし時の温度に近いかそれ以上の高温になる環境で長時間使用した場合、
熱処理と同様の析出現象が発生し、寸法の変化が起こる場合があります。
これを防ぐため、使用時よりも高い温度で処理し、析出時効を行わせることで高温で使用した際でも寸法を安定させます。
[T6]ほどではありませんが[T4]よりも強く、また[T4]より伸びが低くなりますが、靭性は[T6]よりも高くなります。


【使用例】
・アルミ鋳物 ・展伸材 ・内燃機部品
・油圧部品
・エアーツール関係
etc

【本社作業風景】



【よくある質問】
Q、アルミで鉄と同じ硬さが得られますか?
A、得られません。
   [T6]処理で耐食性・強さともに向上しますが、アルミでは鉄の素材の状態よりも硬くなることはありません。
   しかし、アルミは軽量性と熱伝導性では鉄よりも優れており素材として劣っているわけではありません。
  
【備考】
関西最大級の炉で、φ2,000mmの部品まで[T6]処理が可能です。
▼溶体化炉

アルミの熱処理(特に[T6]処理)は加熱時間が長く、膨張係数も大きいため一般に寸法の変化が大きく変形しやすいという問題があります。
弊社は長くアルミ熱処理を扱ってきた歴史がありその寸法の変化や変形を最小限に抑えるノウハウを長年に渡って研究し培ってきました。
特にアルミホイールの歪取においては自動化処理が可能です。

また弊社は関西最大級の熱処理炉を4台保有し、大型の部品でも[T6]処理が可能となっております。


▼処理可能な大型部品の例(φ2,000mm)








通常、銅の焼なましを行うと黒い酸化膜が製品に付着しますが、
弊社では無酸化雰囲気中で熱処理を行うため美しい外観表面を得る事が出来ます。
酸化膜を除去するための酸洗いや研磨の工程を省く事が出来るのでコストダウンにも繋がります。
▼光輝焼鈍後の銅製品